さて、目的の遺跡は折戸沢をはさみ両岸に
位置し、海側から見て右が松浦遺跡、左が
折戸沢遺跡である。折戸沢遺跡は、草(多分
イタドリだと思うが)がのび過ぎているので
今回は断念することにし、松浦遺跡に全力を
注ぐことにする。
青函トンネル記念館(平成14年10月末に
閉館された)に展示してあった3点の完形
土器は昭和35年頃に松浦遺跡の畑から出土
した縄文時代晩期から続縄文時代のものと
記憶している。その為、今回はかなり期待を
抱いていた。
近くに車を停めて、段丘上にある畑に少し
お邪魔してその周辺を見渡す、何もない……。
場所を変えて、もう一度よく見渡す。よう
やく石器のかけらが一つだけ見つかっただ
けで、はじめのやる気が幻であったかのよう
に感じられ、激しく落胆して車へもどる。
悔しいので、海から遠景写真でも押さえ
ようとしたところ、なにやら騒がしい。海の
ほうを見ると、転覆した木造の磯船を牽引
(というのだろうか?)した漁師が、船揚場に
向かっている。しかもその舟には、フジツボ
らしきものが引っ付いている。こんな光景を
目の当たりにして、野次馬根性200%の自分
らが、だまって通り過ぎるわけにはいかない。
湧きあがる衝動を押さえる術を身につけて
いない相棒と自分は真っ先に堤防へと向かった。
周辺の聞き込みから、その船はどうやら
今話題の北朝鮮の磯船らしいことがわかった。
何年か前に起きた大洪水で沖まで流され、長い
年月漂流し、日本まできたのではないかとの
ことだった。海をはさみ、言葉も文化も異な
るが、北朝鮮は近いのだなぁと実感できる。
最近は、お互い何かとごたごたしているが、
もう少し仲良くなれないものかなぁとまじめに
考えてしまう一日であった。
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