福 島 大 神 宮 遺 跡
機会があって福島大神宮の社務所にお邪魔することが出来た。
福島大神宮の歴史は古く、その始まりは今から350年位前の
江戸時代に端を発すると聞く。言われてみれば、あたりに生い
茂る杉は非常に大きく、樹齢300年位はありそうだ。ここの16
代目の宮司は、なかなか面白いことを考える人物で、毎年7月
第3土曜日に、各方面から名のあるアーチストを呼び、境内で
「かがり火コンサ―ト」なるものを行っているそうだ。本殿や境内で
ジャズ等を演奏させる発想自体楽しそうであるが、
伝統芸能である松前神楽とのセッションを行い、新たな音を作り出すというのが斬新でいい、その考えに賛同
する様にわざわざ東京方面から来る客もいると言うから驚きである。
 さて、今回お邪魔したのは「福島大神宮遺跡」から出土した遺物が少々あるという話を聞いたからなのだが、
遺跡自体は平成7年に起こったがけ崩れによって大部分が消失したと聞く。実際、自分も何度か足を運んだが、
まったく遺物を見つけることは出来なかった。そんな状況で、「遺物を保管していますよ。」と聞いたからには
行かないわけにはいかない。(別に何かご馳走してもらう為にいった訳ではない事を強調しておきたい。)
社務所内に案内され、少しの談話の後、松前神楽のビデオを先に見せて頂いた。「あれ?遺物は…」と思った
のだが、このような無形文化財に興味がないわけでもないから、楽しく拝見させてもらう。気づくと目の前には
肉とビールが出されている。「さぁさぁどうぞ。」と言われて遠慮する教育を受けている訳がないので、思いっきり
食べていたが、そのうち遺物の事などを忘れてしまっていた。帰り際にハッと思い出し、目的をはき違えそうな
自分を戒め、遺物を借りて帰ることにした。それが下の写真である。土器には特徴的な文様がないため、断定は
出来ないが、胎土や地文からおそらく縄文時代中期または後期のものと思われる。
その他、石器が数点程あり、中にはスクレイパーも含まれて
いた。恐らくは、境内にはまだ遺跡が残っているのだろう。
帰り際、宮司さんに「またお越しください。」と言われた。
寒風が吹く中、次は何をご馳走してくれるのかなど
考えながら家路に着いた。